ヨガで生徒さんに指導するとき、より多くのことを伝えて満足してもらおうと、たくさん話すという選択をしたところを想像してみてください。
ヨガ以外でもそうですが、何かしらの講演・発表・セミナー登壇など、話をしているときにもし沈黙が生じてしまったら、トラブルか何かあったのかと不安に思われてしまうかもしれないと思っていませんか。
ただ、会話の中には「間」というものがあります。
あえて空白にした時間を設定し、その長さによって会話のリズムをコントロールするという狙いがあるものと思いますが、今回お伝えしたいことはそれとはまた少し違います。
あえてしゃべらないことがその場の雰囲気を落ち着かせ、良い空気感を作り出すことがあるという一例をお示ししたいと思います。
ヨガのオンラインレッスンも主流になりつつあるけどアプリによる補正という欠点もある
最近ではオンラインでのヨガレッスンというのも広く取り入れられています。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ヨガスタジオに集まってみんなで練習するというのではなくて、自宅にいながら先生の指導を受けるというものです。
この方法だと、有名な先生のレッスンが自宅にいながら受講でき、旅費がかからないから魅力的な面が多いですよね。
だた一方で、やはり直接会って指導を受けるのとは違うので、気軽に質問したりコミュニケーションをとることや、その場の空気感を味わうことはできません。
また、先生のリードしてくれている声かけの抑揚がアプリの補正をうけてしまうので、どうしても単調になりがちです。
力強く頑張らせたいときは強めの口調で、またリラックスして欲しいときは穏やかな口調でリードしたいと思っても、声のボリュームなどは補正されてしまってある程度一定に保とうという機能が働きます。
結果的に、スタジオでの臨場感のようなものにはかなわないんですね。
ヨガでリラックスを誘う時は穏やかな口調だけでなくしゃべらないという選択肢が有効なこともある
オンラインヨガだけではなく、スタジオでのレッスンでもそうですが、ヨガで心の波を鎮めてもらおうとするとき、穏やかな口調で話すだけではなく、あえてしゃべらないという選択肢も有効です。
これだとアプリの補正の影響も受けにくいですよね。
無音の状態で生徒自身が自分の内面と向き合ったり、空白の時間で外部からの刺激を抑えたり、実は何も語らないという時間は使い方によっては非常に有効に働くことも多いです。
そしてヨガに限らず、あらゆる場面でしゃべりをとめるという選択肢を持っておくと、相手に伝わることも増えていきます。
伝える側としても、選択肢が増えるんです。
どうやって語るかや何を語るかということと同等に何を語らないかが大切
もちろん、こちらの想いや客観的な情報など、相手に意思を伝え相手の意思を汲み取るためには言葉を発する、つまり言語的な双方向のコミュニケーションが必要です。
ただ、時と場合にもよりますが、何も語らないということで相手の思考を呼び起こし、前後の文脈からこちらが何を伝えたかったのかを想像してもらうということも、時に語ること以上の威力を発揮します。
ちなみに、私がこれをやるときは、自然とその空白時間の前後も語り方が緩やかになる気がしていて、全体的に穏やかな時間を演出することができます。
言葉のシャワーを浴びせるように語り続けるよりも、グッと説得力も増しますし、選択肢として持っておくべき考え方ではないかと思います。
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